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八谷航太

18yo / ソフトウェア開発者

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工業的製法

2021-01-31 非技術

何でもいいから物質を新たに合成するとき、時と場合によって製造方法が工業的製法実験室的製法という2種類に分類される、というのを最近知りました。

工業的製法

例えばある物質を大量生産して売り捌いてビジネスとしてやっていきたい場合、学校の実験みたいにちまちま沸騰させたり液体たらしたりしてたらコストに見合わないわけです。もっとデカイ作業場を用意して、一発大爆発させて一気に大量生産して薄利多売したい。そこで用いられるのが工業的製法。
工業的製法の特徴としては、実験室的製法に比べて高い温度や圧力を使うことが多く、また製造過程で出た副産物をなるべく利用できるように設計されている点が挙げられます。メリットはもちろん大量生産できる点ですが、高温高圧が可能な環境を用意するコストと生成された物質の純度が一般的に低いことがデメリットです。別に大量生産したいわけでもないのに人里離れた場所に工場を用意するのは無駄ですよね。そこでもう一つの手段として考えられているのが実験室的製法です。

実験室的製法

実験室的製法はその名の通り、学校や研究の実験で用いられる物質の製法です。生成までのステップは工業的製法に比べると少なく(=単純)、全てに該当するわけではありませんが一般的に工業的製法よりも物質の純度が高いことが多いです。

代表的な工業的製法

工業的製法はしっかりステップ分けされてて文系にもわかりやすいものとか名前がかっこいい製法があって、なんとなくテンションが上がるよね。

アンモニアソーダ法 (ソルべー法)

アンモニアソーダ法のフローチャート
アンモニアソーダ法は1863年にベルギーの化学者エルネスト・ソルべーが考案した、炭酸ナトリウムNa2CO3\text{Na}_{2}\text{CO}_{3}の生成アルゴリズムです。

手順

  1. CaCO3\text{CaCO}_{3}を熱分解してCaO\text{CaO}CO2\text{CO}_{2}を用意する
    CaCO3CaO+CO2 \text{CaCO}_{3}\rightarrow\text{CaO}+\text{CO}_{2}
  2. 塩化ナトリウムの飽和水溶液NaCl aq\text{NaCl aq}に1で取得したCO2\text{CO}_{2}NH3\text{NH}_{3}を吹き込み、炭酸水素ナトリウムの沈殿NaHCO3\text{NaHCO}_{3}NH4Cl\text{NH}_{4}\text{Cl}を生成する
    NaCl+H2O+NH3+CO2NaHCO3+NH4Cl \text{NaCl} + \text{H}_{2}\text{O} + \text{NH}_{3} + \text{CO}_{2}\rightarrow\text{NaHCO}_{3} + \text{NH}_{4}\text{Cl}
  3. 1で取得したCaO\text{CaO}を水に溶かし、Ca(OH)2\text{Ca(OH)}_{2}を生成する
    CaO+H2OCa(OH)2 \text{CaO}+\text{H}_{2}\text{O}\rightarrow\text{Ca(OH)}_{2}
  4. 2で生成したNH4Cl\text{NH}_{4}\text{Cl}(弱塩基)と3で生成したCa(OH)2\text{Ca(OH)}_{2}(強塩基)を反応させて遊離を起こし、CaCl2\text{CaCl}_{2}NH3\text{NH}_{3}を生成する
    Ca(OH)2+2NH4ClCaCl2+2NH3+2H2O \text{Ca(OH)}_{2} + 2\text{NH}_{4}\text{Cl}\rightarrow\text{CaCl}_{2} + 2\text{NH}_{3} + 2\text{H}_{2}\text{O}
  5. 2で生成したNaHCO3\text{NaHCO}_{3}を熱分解して目的のNa2CO3\text{Na}_{2}\text{CO}_{3}と水とCO2\text{CO}_{2}を生成する
    NaHCO3Na2CO3+H2O+CO2 \text{NaHCO}_{3}\rightarrow\text{Na}_{2}\text{CO}_{3}+\text{H}_{2}\text{O}+\text{CO}_{2}

特徴

このアルゴリズムは副産物を効率良く再利用している点が特徴です。手順4で生成したNH3\text{NH}_{3}は手順2で吹き込むNH3\text{NH}_{3}として再利用されます。また手順5で生成したH2O\text{H}_{2}\text{O}は手順2の塩化ナトリウムの飽和水溶液に、CO2\text{CO}_{2}は手順2で吹き込むCO2\text{CO}_{2}として再利用されます。最終的に再利用されずに廃棄される物質は手順4で生成されるCaCl2\text{CaCl}_{2}だけということになります。

この製造方法を一つの式で表すと以下のようになります。

2NaCl+CaCO3Na2CO3+CaCl2 2\text{NaCl} + \text{CaCO}_{3}\rightarrow\text{Na}_{2}\text{CO}_{3} + \text{CaCl}_{2}

接触法

接触法は濃硫酸H2SO4\text{H}_{2}\text{SO}_{4}を生成するアルゴリズムです。発案者は明確ではないらしく、Wikipediaには

1831年にイギリスの酢の商人Peregrine Phillipsにより特許が取得された

とだけ書かれています。

手順

  1. 硫黄SSを燃焼させ、二酸化硫黄SO2\text{SO}_{2}を用意する
    S+O2SO2 \text{S}+\text{O}_{2}\rightarrow\text{SO}_{2}
  2. 1で取得したSO2\text{SO}_{2}を、酸化バナジウムV2O5\text{V}_{2}\text{O}_{5}を触媒として酸化させ、三酸化硫黄SO3\text{SO}_{3}を生成する
    2SO2+O2V2O52SO3 2\text{SO}_{2}+\text{O}_{2}\overset{\text{V}_{2}\text{O}_{5}}\rightarrow2\text{SO}_{3}
  3. 2で生成したSO3\text{SO}_{3}を濃硫酸に吸収させて発煙硫酸とし、これを希硫酸で薄めて濃硫酸H2SO4\text{H}_{2}\text{SO}_{4}を生成する
    SO3+H2OH2SO4 \text{SO}_{3}+\text{H}_{2}\text{O}\rightarrow\text{H}_{2}\text{SO}_{4}

特徴

アンモニアソーダ法に比べると幾分かシンプルですね。最後に出てきた発煙硫酸というのは、SO3\text{SO}_{3}ガスの白煙を発生させる、皮膚に触れるとバチクソにやけどするやつです。

オストワルト法

オストワルト法とは、1902年にドイツの化学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・オストヴァルトが考案した、硝酸HNO3\text{HNO}_{3}生成アルゴリズムです。

手順

  1. 白金Pt\text{Pt}を触媒としてアンモニアNH3\text{NH}_{3}を酸化させて一酸化窒素NO\text{NO}を用意
    4NH3+5O2PtNO 4\text{NH}_{3}+5{O}_{2}\overset{\text{Pt}}\rightarrow\text{NO}
  2. 1で取得したNO\text{NO}を再び酸化させて二酸化窒素NO2\text{NO}_{2}を生成
    2NO+O22NO2 2\text{NO}+\text{O}_{2}\rightarrow2\text{NO}_{2}
  3. 2で生成したNO2\text{NO}_{2}を温水に吸収させ、硝酸HNO3\text{HNO}_{3}を生成する
    3NO2+H2O2HNO3+NO 3\text{NO}_{2}+\text{H}_{2}\text{O}\rightarrow2\text{HNO}_{3}+\text{NO}

特徴

これも接触法同様シンプルなアルゴリズムで、手順3で生成されたNO\text{NO}が手順2で酸化させるNO\text{NO}として再利用可能になっていることが分かります。

終わりに

本気で化学の勉強をしてる人がこの記事にたどり着くことはないはずなのでまとめもクソもありませんが、他にもアンモニアNH3\text{NH}_{3}を生成するハーバー・ボッシュ法(三重結合で反応しにくいN2N_{2}を鉄を触媒としてH2H_{2}と反応させるアルゴリズム)とかも勉強したので、試験まで覚えていられるようにがんばります。では